
アスプルンドの建装部では店舗やオフィスの空間設計・内装ディレクションを行っています。レイアウト計画、什器設計、FF&E コーディネートまでを一体で設計し、スタイリッシュで洗練された空間創りをご提供しています。
連載企画の第二弾となる今回は、「執務スペースの間にミーティングスペースを取り入れる」ことにフォーカスします。会議室へ“移動して話す”という手間は、コミュニケーションの熱量を下げがちです。執務の流れを止めずに人が自然と集まり、短時間で合意形成できる“開かれたミーティング” を日常化するために、オープンで風通しの良いゾーニングを提案します。

まずは全体のイメージを検討します。今回は自然と人が出入りできるようなミーティングスペースにするため、「テラス」をイメージに引用して空間を設計していきます。木製の造作ベンチ、パーゴラを想起させるフレーム、植栽やルーバーといったテラスを連想させる家具や構造を取り入れ、室内にいながらも屋外の開放感を感じられるような空間を目指しました。
構成と意匠の両面から、開放的で居心地のよいラウンジ・ミーティングスペースをつくり、執務スペースから自然な流れで打ち合わせをしたり、一息ついてリフレッシュできたりするような、グラデーションのあるエリア設計をしていきます。マテリアルにはウッドやラタンのほか、農業廃材を再活用したネイチャーズキャスト素材など、自然素材を多く取り入れています。

ミーティングスペースは執務スペースに囲まれたオフィスの中心。部屋として完全には仕切らずに、等間隔に柱を設けてエリアに機能を生み出します。特定の入口をあえて設けないことで、自由度の高い回遊性とレイアウトを可能にしています。さらにミーティングスペース内もエリア分けを行い、半屋外のような抜け感や視線の広がり、ほどよい距離感など、テラスがもつ機能を取り入れながら、それぞれのエリアの役割やテーマを検討していきます。

ソファースペースは、オフィスのラウンジに“カジュアルなミーティング”と“ちょっとした滞留” を生むエリア。座席をソファにすることで、リラックスした雰囲気で1on1や短時間の打合せができる空間をつくります。またローテーブルとソファ、ベンチをミックスし、座り方の選択肢を増やすことで、会話の距離感を自然に調整できます。柱間を生かしたレイアウトでは、格子状のパネルや植栽を“適所”に配置。視線を遮りすぎない透け感で、オープンな雰囲気は保ちながら、心理的な境界をつくる「緩やかなゾーニング」を実現しています。
USE ITEM
1.LOIZA 1P SOFA(ロイザ 1P ソファ)
2.LOIZA CORNER SOFA(ロイザ コーナー ソファ)
3.LINER DINING TABLE(ライナー ダイニングテーブル)

ミーティングスペースの奥側には、ゆるく閉ざされた“こもれる” エリアを計画します。天井にルーバーを設置することで心理的な「屋根」をつくり、包まれ感を演出しています。さらに周囲を腰壁で緩やかに囲い、遮りすぎない高さで視線をコントロール。背中を預けられる安心感を与えつつ、オープンなラウンジとのコントラストを鮮明に表現しています。用途と意匠の境界をあえて曖昧に保つことで、「休む」「話す」「考える」など、ひとりひとりが自由に過ごし方を選択できる空間としています。
中央に位置するコの字型のカウンターは「中庭」をイメージ。あえて天井をオープンにし、シンボルとなる植栽を配置することで、空間の重心と回遊の起点をつくります。さらに緑の周囲をベンチやカウンターで囲うことで、ひとりでの作業や休憩時でも気持ちよく滞在できる景観の良い席が生まれます。テラス的な開放感と奥側のセミクローズドなエリアがグラデーションでつながり、自然な動線による偶発的なコミュニケーションを支えています。
USE ITEM
4.NEMARU-09 DINING CHAIR WITHOUT CUSHION(ネマル-09 ダイニングチェア ウィズアウト クッション)
5.STELAPOP TABLE TOP(ステラポップ テーブルトップ)+RT-109 LEG
6.CYLINDER COUNTER CHAIR(シリンダー カウンターチェア)

ミーティングスペース手前側には、テラスの延長として床を一段切り替えたデッキ調の造作ベンチを計画しました。明確な席数を限定せずに居場所が曖昧な場所は、コミュニケーションや使い方にもグラデーションを与え、“浅く腰掛ける/立って寄りかかる/段に座る”など、距離感を自分で調整できます。ここは腰を据えた会議ではなく、短い相談やアイデア出しが自然に始まるオープンな場。「話していい場所」であることを視覚的に示すことでコミュニケーションを円滑にします。

手前左側にはハイカウンターのテーブルとチェアを設置しました。吊り照明を使い他のエリアと雰囲気を変え、空間にリズムが生まれるよう考慮しています。座面の高いカウンター席では、短時間で要点を整理してスピーディーな会議ができたり、視線の高さや環境の変化により一日の中に適度な刺激が生まれたり、日々の業務面で多くのメリットを生み出します。
連載企画の第二弾となる今回は、テラスをイメージとしたミーティングスペースの設計例をご紹介しました。
今後も建装部より様々なアイディアや設計例を発信していきますのでご期待ください。
建装部連載コラム バックナンバー
■ Office Space Case study -vol.1-
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